
【声 明】
京都府教育委員会は、根拠も道理もない密室での
高校つぶしをいますぐやめるべきです
2004年12月15日 京都府立高等学校教職員組合
〔1〕「はじめに統廃合ありき」の高校つぶしに強く反対します。
12月7日の京都府議会で武田教育長は、府南部の府立高校12校の再編について、「4校を2校に再編する」と答弁しました。府教育委員会は「発展的統合だ」「一層魅力ある高校教育を創造」としていますが、地元紙が「4校を対象、2校に統廃合」(洛南タイムス)「山城の府立高を2校減」(城南新報)としているように、誰が見ても統廃合による高校つぶしであることは明らかです。私たちは学校現場への説明もなく、父母・地元住民の合意もないままの、「はじめに統廃合ありき」の高校つぶし計画には強く反対し、すみやかな撤回を要求するものです。
〔2〕教育条件の整備を怠ってきた府教育委員会の「教育リストラ論」は許せません。
今回の高校つぶしの土台となっているのは、府教育委員会が金科玉条のごとく掲げてきた「1学年8学級が適正規模」という点です。この間も、「地元の意見を聞く」と称して開催した懇談会でも、この「適正規模」論を声高に叫んでいます。
しかし府教育委員会がとる立場は、以下の点で何の根拠も道理もないものです。
第1は、高校生が確かな学力を身につけ、一人ひとりの個性を伸ばすために高校でも少人数学級の重要性が叫ばれる中で、「1学級40人」を不変の基準とする、時代遅れの考えです。
第2は、少子化で高校の小規模化が進行し、「統廃合やむなし」の世論づくりをしようとしていますが、これは大きなごまかしです。山城地域の公立高校は、中学卒業者数がピークとなった1988年度には126学級(1学級定員47人)の募集、在籍生徒数が最大となった1990年度(在籍生徒総数17,322名)には、12校のうち3校が1,300人台、7校が1,400人台、2校は1,500人を超え、現在では考えられない「超マンモス校」です。「8学級が適正」というなら、少なくとも18校は高校を建てなければならなかったはずです。今になって持ち出してきた「適正規模」は、教育委員会として教育条件整備を怠ってきたことを覆い隠すための恣意的な基準です。12校の来年度の募集学級は77学級で、1校あたり6.4学級となります。存続自体が不可能は小規模な高校はなく、むしろマンモス状態を脱したといえるものです。
第3は、「1学年8学級」(全校960人)の学校規模が「適正」だという根拠は何もありません。全国でも900人以下の全日制高校は75%にのぼります(2003年度学校基本調査)。府教育委員会の基準でいくと、全国の高校の4分の3は「望ましくない規模」ということになります。
私たちは、高校でも学級の生徒数を少なくして、マンモス校でなくアットホームな雰囲気で、きめ細かな指導が必要だと考えています。そうした観点から、私たちは全日制の学校規模の標準は、学級定員を30人としたうえで、「1学年8学級以内(3学年で720人以下)」にすべきだと提案しています。こうした教育条件の改善をすすめるためには、少なくとも現在の学校数を維持することが必要です。高校べらしをすすめることは、高校での30人学級の実現を極めて困難にするものです。
今回の計画は、小規模校であることを理由に教育条件切り捨てを合理化する「教育リストラ論」であり、強く反対します。
〔3〕高校つぶしでこれ以上南山城の子ども達を苦しめることは許せません。
今回の発表が子ども達や父母・住民に多大な不安・混乱を与えることは明白です。教育長は「在校生や来春の受験生に十分配慮」としていますが、今の時期に「2つの高校がなくなる」と発表することが、どんな憶測や不安を呼び起こすか、考えたことがあるのでしょうか。
山城地域では、今春の2004年度入試で、他の通学圏に先駆けて通学圏の拡大や完全単独選抜の導入が図られました。「選択の幅が広がる」「希望する高校に行ける」というふれこみで行われた「入試改革」が、山城地域の子ども達に混乱と過酷な競争を強いることになりました。府教育委員会が宣伝した「セーフティネット」が機能せず、高倍率に苦しめられ、「行きたい学校より入れる学校」を選ばざるを得なかった子ども達も多数出ました。一般選抜だけでも311名(受検者の12%)が不合格になっています。地元の高校に行けず、遠距離通学を余儀なくされた生徒もたくさんいます。
府立高校を2校減らすことが、山城地域の子ども達にさらに過酷な状況をもたらすことは火を見るより明らかです。府教育委員会は、「受験生への配慮」を持ち出して密室での高校つぶしを合理化することをすぐやめるべきです。「何よりも子どもたちへの気配りを求めたい」(京都新聞)とするのは当然のことです。
〔4〕養護学校建設は高校統廃合とは関係なく、早急に実現すべきです。
さらに、高校つぶしと新養護学校建設にリンクさせようとしている点は重大です。
そもそも養護学校建設は、障害のある子ども達が学ぶ養護学校が宇治・久御山・八幡になく、向日が丘養護学校などへの長時間の通学を余儀なくされている現状があり、一刻も早く行政の責任で解決しなければならない問題です。多くの父母から切実な新養護学校建設の要求が出されているにもかかわらず、長年にわたってサボタージュしてきたものです。地域と密着した養護学校づくりを唱える以上は、私たちが長年要求してきたように、少なくとも宇治・城陽・八幡に3校建設することが必要です。
教育長答弁では直接言及はしていませんが、最近公的な場で複数の養護学校の校長が、高校統廃合と養護学校建設がリンクしている旨の発言をしています。実際に高校名をあげて言及しているケースもあります。「養護学校建設のためには、高校統廃合はやむを得ない」という世論づくりであり、地域の高校を守り発展させるとりくみと地域の養護学校づくりをすすめる運動を対立させようとするものであり、断じて許せません。
〔5〕私たちは、大がかりな高校つぶしを許さず、府民とともにたたかいます。
府教育委員会のいう「適正規模」論からいくと、他の地域でも数校の統廃合が予想されます。また、すでに「府立高校改革推進計画(U)」で掲げているように、定時制や小規模な分校の切り捨てを画策していることは明らかです。
私たちは、高校べらしではなく、現在の高校数を維持して、30人学級の実現、選択科目や少人数での学習の保障などをすすめることに力を注ぐことが大切であると考えます。私たちは、あらためて山城地域の高校統廃合計画の撤回を要求し、地域の公立高校を存続・発展させる府民的な運動をよびかけます。府立高教組はその先頭に立つことをあらためて表明するものです。