【声 明】
地元に不安と混乱をまねいた責任は京都府教育委員会にある
地元関係者が預かり知らぬ「高校再編=高校つぶし」計画は直ちに撤回せよ 2005年3月25日          京都府立高等学校教職員組合執行委員会 

1.この時期の突然の発表で「憂慮すべき事態」を招いたのは府教委の責任
 武田教育長は3月18日の府議会予算特別委員会で、「宇治市域と八幡市域のそれぞれ2校を対象に再編」するという答弁を行いました。これについて翌日、地元紙も含めて各紙は一斉に報道し、中には具体的に学校名をあげての報道もありました。
 私たちは、内容以前の問題として、この時期の発表がどれだけ生徒たちを傷つけ、父母・住民に不安と混乱をもたらすものであることを指摘しなければなりません。答弁が行われた18日と翌週初めには山城地域の府立高校で新入生説明会が行われ、新入生と保護者が登校しています。希望を胸に高校生活を迎えようとしている時、どういった神経でこのような答弁をしたのか、その感覚を疑わざるを得ません。
 府教委は朝日新聞がかなり踏み込んだ記事を掲載していることに抗議文を出しています。私たちは各紙の記事や『朝日』の記事を云々する立場にはありません。しかし、府教委が「抗議文」にあるような「在校生や受験生への配慮」「同窓生や地元の方々の十分なご理解」を言える立場でないことは、上記のことから明らかです。もともと2校しかない八幡市域では、八幡・南八幡高校が統廃合の対象であること、宇治市域は4校のうち2校が対象になることははっきりしたわけであり、この6校の関係者が不安を抱くのは当然のことです。関係者にどういう理解を得ながら進めているのか、それこそ生徒・父母・住民にきちんと説明する責任を負っているのは府教委です。その責任を横に置いて、他者に「抗議」するのは筋違いと言わざるを得ません。「極めて憂慮すべき事態」を招いたのは府教委自身であることを自覚すべきです。

2.学校現場に混乱を招くだけの無計画な府教委の「計画」
 さらに許せないのは「計画」の内容が無計画的で、新学期を迎える学校現場にいたずらに混乱を持ち込むものであることです。
 八幡市域では、小・中学校の再編もからんで大きな混乱が起こっています。新しい高校の構想としてあげている「大学に接続する高度で専門的な教育」「福祉マインドを涵養する教育」(教育長答弁)とは何か、中高一貫校との関連はどうなのか、両校の普通科はどうなるのか、南八幡高校の専門学科(オフィス情報科・流通マネージメント科)はどうなるのかなど、様々な疑問を不問にしたまま統廃合だけが先行するという、まさに「初めに高校つぶしありき」の計画です。
 宇治市域でも同様です。宇治市には、普通科中心ですが、学年制・単位制という異なる教育システムの高校があります。仮に『朝日』が報道するように西宇治高校が関係しているとすれば、学年制と単位制をどうミックスするのか、また「最先端の科学技術を学ぶ専門性の高い教育」「伝統文化や文化財を踏まえた未来の文化を創造する教育」(教育長答弁)が、現在の学校とどう関連してくるのか、一切わかりません。このようにトップダウンで決まった方向を提示しながら、「理解を得ながら」というのは、府教委の手前勝手な理屈です。これこそ学校現場に混乱をもたらすだけで、まさしく「憂慮すべき事態」をまねくものです。
 さらに学校だけでなく、普通科をつぶしていくことへの懸念も大きいものがあります。普通科をへらすことが生徒や父母・住民のニーズなのでしょうか。「特色高校」を作ることで地元の普通科に通えなくなる子ども達はどうするのでしょうか。府教委がすすめる高校や入学者選抜の「特色化」路線が、学校現場と子ども達に不安や混乱を増大させていることを府教委は強く自覚すべきです。

3.あらためて問われる「再編」の根拠、府教委は説明責任を果たせ
 私たちは以前から、今回の高校統廃合が「1学年8学級」という「適正規模」論を根拠に行われていることを批判してきました。結局「なぜ8学級でないとダメなのか」について、満足な回答はありません。それどころか、この「適正規模」論の考えで高校つぶしをすすめていくと、30人以下学級の実現など教育条件の改善が極めて困難になります。今回の再編が、統廃合によって教育条件切り捨てを合理化する「教育リストラ」の施策であり、同時に「地元の高校に安心して通学したい」と願う多くの子ども達を苦しめるものであることは明らかです。
 さらに重大なのは、口では「リンクしていない」(1/22説明会での府教委返答)と言いながら、養護学校建設と高校統廃合が密接につながっていることです。養護学校建設の必要性は認めながら、高校つぶしとの差し引きですすめようとする、まさしく安上がりの発想でしかありません。これは養護学校建設の切実な願いを地域の高校の存続・発展を求める声と対立させ、結果として養護学校建設も高校統廃合の都合に合わせるということになります。これは絶対に容認できません。高校再編とは関係なく、府教委は今すぐ養護学校建設を実現すべきです。
 山城地域の各高校では、教職員が「一体どうなっているのか、きちんと説明を」と求めています。しかし、校長は口裏を合わせたかのように「知らぬ存ぜぬ」を決め込んでいます。「何も決まっていない」「答弁以上のことは何もわからない」と繰り返しています。納得できるものとはとても言えません。もし本当に「何も決まっていない」のなら、あのような答弁をした府教委の責任こそが問われます。あらためて府教委は関係者に説明責任を果たすよう、強く求めるものです。
 以上の点から、今回の発表が極めて不当なものであり、各方面に不安と混乱をもたらすだけであること、従って速やかな撤回を要求するものです。